法学お勉強記録

予備試験最終合格を目標にした学習の記録です。演習本の答案例が主になります。(予定)

平成31年度(2018年11月実施) 東大ロー過去問 刑事系(再現答案)

第1 1について(刑法は法名略)

1 Yの罪責について:(1) Yが、A宅隣の空き地に赴いた行為は、空き地管理権者の意思に反する侵入であるから、130条前段の罪に該当する。

(2) Yが、Aのバイク前輪に付けてあったチェーンロックを破壊した行為は、器物損壊罪(261条)に該当する。

(3) Yが、Aのバイクを、X宅まで運転し、Xに引き渡した行為について窃盗罪(235条)が成立するか。以下検討する。

ア まず、Yは暴走族「甲」のメンバーであり、甲においてはリーダーXの命令は絶対で、それに従わなければ他メンバーから暴行等の制裁を受ける恐れがあり、Yの行為はXの「Aのバイクを盗んでこい」との指示によるものであったのだから、Xにつき、Yを道具として使った窃盗罪の間接正犯が成立するものとして、責任故意なきYには何らの罪も成立しないのではないか(38条)。

イ この点、YはXの単純な指示を受けた後、自ら進んでA宅に赴き、チェーンロックを破壊し、AのバイクをX宅まで運転してXに引き渡していることを鑑みれば、Yには事理弁識能力が十分に備わっていると評価でき、そのようなYをXが支配し道具として利用していたとまでは言えず、間接正犯は成立しない。

ウ 次に、窃盗罪の共同正犯が成立するか(60条)。

エ 共犯の処罰根拠は、構成員が互いを補充・利用し合い一個の犯罪結果発生を惹起することの当罰性にある。その要件は①特定犯罪についての共謀があること、及び②共謀に基づいた実行行為があることである。

オ 本件についてみると、XはYに対し、Aのバイクを盗むよう指示し、Yはこれを了承しており(①充足)、Aのバイクを窃取している(②充足)。よってXYは窃盗罪の共同正犯の罪責を負うとも思える。

カ また、Yは、Xが盗んできたバイクをどこかに売り払うつもりであると考えていたのであるから、権利者排除意思及び利用処分意思を有していたといえ、不法領得の意思も認められる。

キ したがって、Yの上記行為は窃盗罪に該当する。

(4) 以上から、Yは①130条前段の罪、②器物損壊罪、③窃盗罪の罪責を負い、①と③とは手段目的の関係にあるから牽連犯(54条1項)として、②との併合罪となる。

2 Xの罪責について:(1) 上記1の通り、XY間には共犯関係が成立するため、Xも130条前段の罪及び器物損壊罪の罪責を負う。

(2) しかし、窃盗罪についてはXが内心ではAへの恨みを晴らすために、Aのバイクを燃やすつもりであり、不法領得の意思が欠けるため問題となる。以下検討する。

(3) この点、Xの内心を重視し、窃盗罪については犯罪実行についての意思連絡が無いために上記要件①不充足として、焼損行為なき限りなんらの罪責も負わないとする考えもあるが、かかる見解は採用し得ない。なぜなら、Xは、Yが、その内心においてXがAのバイクをどこかに売り払うつもりであると考えていることを知っていながら、あえて訂正することもなく、ただ「盗んでこい」と指示するのみであったのであり、このような場合に主観的要件不充足としてしまっては妥当でないからである。

(4) したがって、Xは窃盗罪についても共同正犯として罪責を負う。

(5) 以上から、Xは、Yと同様の罪責を負う。

第2 2について(刑事訴訟法法名略)

1 Wの供述録取書が伝聞証拠にあたれば、伝聞例外にあたらない場合には、裁判所はこれを証拠として採用し、取り調べることができない(320条、321条ないし328条)。

2 伝聞証拠とは、公判廷外供述又はそれを録取した書証であって、その内容の真実性が問題となるものをいう。伝聞法則の趣旨は、知覚・記憶・表現叙述の各過程を経て表出する供述証拠はその過程に誤りがある恐れがあり、(反対)尋問等によるチェックが必要であるのに伝聞証拠では不可能であるため、証拠能力を否定し、誤判を防止する点にある。

3 Wは警察官、ついで検察官に対して取調べの場で、甲の集会でのXY間の会話について供述しており、供述録取書はそれに基づいて作成されている。

4 検察官の立証趣旨によれば、Wの供述録取書の要証事実は「XY間に共謀があったこと」であり、これを証明するためには供述録取書の内容の真実性が問題となる。

5 よってWの供述録取書は伝聞証拠にあたる。

6 次に、伝聞例外にあたるか検討する。

ア Wの供述録取書は検面調書であるから、公判廷での供述が前の供述と相反するか若しくは実質的に異なった供述をしたときであり、特信情況の存するときに限り、証拠とすることが出来る(321条1項2号)。

イ Wは、事件後の取調べにおいて、XY間の会話につき相当程度詳細に供述しているのにも関わらず、公判での証人尋問においては「よく覚えていない」と証言しているが、これは、前の供述と実質的に異なった供述といえる。

ウ Wは甲のメンバーであり、事件後の取調べにおいて、X・Yが不利となる事実である「XY間に共謀があったこと」を証明するような虚偽の供述をする必要はおよそ考えられず、証人尋問での曖昧な供述はX・Yを利するためにされたものと考えられ、特信情況が存するといえる。

エ したがって、伝聞例外にあたる。

7 以上から、裁判所は、Wの供述録取書を証拠として採用し、取り調べることができる。

 

                                     以上

 

コメント

 改めてみると、というか試験後の3週間ずっと自分を責めていたのだが、やらかしポイントが多い。以下、箇条書きで指摘しておく。

 

 ・空き地に対して130条前段の罪を成立させている

  →罪数処理でも減点になっただろう

 囲繞地が建造物侵入罪の客体になるかどうか問題は論点になるが、空き地は客体にならない

 ・空き地にあるAのバイクに、占有が及んでいるのかにつき言及していない

 ・違法性阻却事由としての緊急避難の成立につき言及していない

 ・Wの供述録取書に署名若しくは押印があるかどうかの留保をしていない

 

 見る人がみればどんどこ粗が発見されそうではあるが、逆説的にこの程度の答案でも合格できるのだということを示せたともいえる。

 

 これを書いた日に入試成績の開示請求をしてきたので、およそ40日後には来るという開示成績の点数を追記しておくつもりである。

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東大ロー入試再現答案を書くにあたって

 挨拶だけで記事が一つもないのは寂しいので、再現答案を残しておこうと思う。某予備校の再現答案募集にも応募してあるので運がよければお金にもなるし、受験前に不安に駆られた受験生が求めるのは完璧な答案よりもむしろ「この程度でも受かるのか」という半ば傲慢な安心なので、へなちょこ答案を形にしておくことにも一定の価値があるだろう。

 

 何故かは分からないが、東大ローは過去問をHP等で公開せずに販売しているので問題を載せることは控える。しかし、世の中のどこかには(具体的にはTwitter等)転がっているだろうから検索してみるのもいいかもしれない。

 

 なお、再現答案と銘打ってあるが、本番の試験では問題文を読みながら書き始めるくらいの焦りっぷりのために何度も二重線で訂正したり、文節レベルで言葉が足りない時には次の行に書いてそれを丸で囲んで挿入したり、構成ミスに気付いた時には段落ごと入れ替える荒業を何度もやっている。それでも合格したということは答案構成自体はともかく、それが紙面上どのように表現されていたとしても採点官に了知可能であれば訂正自体にいちいち減点を施すようなことはしていないのだろう(法学についての知識を問う試験なのだから当然と言えば当然ではあるが)。

 頭の回転に自信があって瞬時に答案構成をひらめくことができ、書きながらミスを見つけるようなことがあり得ないと断言できる人でなければ、基本的な校正記号とその使い方をマスターしておくことは受験戦略上価値があるといえるだろう。そうでなくても東大ローは各科目ごとの解答時間が70分と、問題ないし問われているだろう論点の多さに対して非常に短いので緊張とあいまって焦りやすく、ミスをおかす条件は揃っているのであるから。

 

 校正記号は大学入試の世界史大論述のために覚えたものだが、何がどこで役に立つのかよく分からないものだと改めて思う。

 

 

はじめに

 

 このブログは個人的な勉強記録を形として残しておくためのものであるが、せっかくインターネット上で公開するのであるから、答案例を見た誰かが「こいつは何者なんだ」「あの本やってねぇかな~」と思った時に参照できるように軽く自己紹介と現状について説明し、答案例を作成するつもりの(おそらく全部は時間の問題上できないだろうが)演習書を紹介する。

 勉強自体は基本的には自力で頑張るが、答案例として載せるものはカンニングしつつ修正したものの予定。それでもおかしいところや論点抜かしはあるはずなので参考程度に

 

・自己紹介というかプロフィール

 民間就活はしたくないが会社法手続法をやるのも面倒という理由で官僚を志し、某大法学部公法コースに進学し国家総合職試験には合格するものの官庁訪問で殺され、半ば自暴自棄になりつつ適当に就職するも、色々あって7月中に退職し、そこから会社法と民訴刑訴をリークエ通読でなんとなく理解した気になって論文対策を行い、不安にかられながら何とかロー入試を突破し、卒業したはずの大学にまたもやお世話になることが確定した無職。私立ローは受験すらしていないので某大ローに落ちたら第二新卒として就活するところだった。

 

・基本書(読んだとは言っていない)と演習書

 全く自慢にならないが、学部時代はシケプリというか講義の書き起こしと過去問だけで乗り切ったので基本書を通読した経験が無い。下記の基本書は原則として辞書的に使用するものであり、現時点での知識は短答1周目で(あやふやなものも含めて)正答率7割程度というレベルであることを付記しておく。

 

 憲法

   [芦部信喜] 憲法 第六版

   [小山剛] 「憲法上の権利」の作法 第3版

   [木村草太] 憲法の急所──権利論を組み立てる 第2版

 

 行政法

   [中原茂樹] 基本行政法 第3版

   [塩野宏] 行政法行政法総論 第六版

   [北村和生ほか] 事例から行政法を考える

 

 民法

   [内田貴] 民法Ⅰ 第4版 総則・物権総論

   [内田貴] 民法Ⅱ 第3版 債権各論

   [中田裕康] 債権総論 第三版

   [安永正昭] 講義 物権・担保物権法 第2版

   [前田陽一] 民法Ⅵ 親族・相続 第4版 (LEGAL QUEST)

   [千葉恵美子ほか] Law Practice 民法Ⅰ 総則・物権編〔第4版〕

   [千葉恵美子ほか] Law Practice 民法Ⅱ 債権編〔第4版〕

   [佐久間毅ほか] 事例から民法を考える

 

 民事訴訟

   [三木浩一ほか] 民事訴訟法 第2版 (LEGAL QUEST)

   [長谷部由起子ほか] 基礎演習民事訴訟法 第3版

   [遠藤賢治] 事例演習民事訴訟法 第3版

 

 商法・会社法

   [神田秀樹] 会社法 第18版 (法律学講座双書)

   [伊藤靖史ほか] 会社法 第4版 (LEGAL QUEST)

   [黒沼悦郎ほか] Law Practice 商法〔第3版〕

   [伊藤靖史ほか] 事例で考える会社法 第2版

 

 刑法

   [山口厚] 刑法 第3版

   [島田聡一郎, 小林憲太郎] 事例から刑法を考える 第3版

   [井田良ほか] 刑法事例演習教材 第2版

 

 刑事訴訟法

   [宇藤崇ほか] 刑事訴訟法 第2版 (LEGAL QUEST)

   [古江頼隆] 事例演習刑事訴訟法 第2版

   [佐々木正輝, 猪俣尚人] 捜査法演習-理論と実務の架橋のための15講

 

 

 はしがき・まえがきしか読んだことの無い基本書が多すぎる問題を改めて認識したところで最初の記事を終えようと思う。

 某大ロー民事系(特に問2・問3)で壊滅したトラウマから会社法の基礎固めを行うつもりでいるのでこのブログに、というか演習書の答案例作成に本腰を入れていくのは少し後になるかもしれないが、試験直前期に見返して「これだけやったんだから大丈夫だ」と思えるくらいには頑張りたいと思う。